副腎とは 50種類以上のホルモンを産生・分泌している副腎は、左右の腎臓の上にあるピラミッド型をした臓器です。重さは5gと、とても小さいですが、ステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロン、性ホルモンなど)を分泌することで、栄養素の代謝、電解質のバランス調整、ストレスのコントロール、心臓や血管の循環器系の調節など、とても重要な働きをしています。 副腎の主な働き●エネルギー産生:炭水化物代謝、血糖コントロール、タンパク質・脂質から糖新生●電解質バランス●脂肪燃焼●性ホルモン産生 女性:DHEAs、テストステロン産生、閉経後のエストロゲン、プロゲステロン産生 男性:DHEAs、エストロゲン産生、アンドロポーズ後のテストステロン産生●ストレス反応軽減●抗酸化作用(疲労回復)●免疫機能調整→感染症・がん予防、アレルギー予防 副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)とは 仕事、家庭、経済、人間関係などのストレスや、偏った食生活や運動不足といったライフスタイルの乱れによって副腎の機能低下が続くと、ホルモンバランスが乱れ、慢性的な疲労、精神不安、食欲不振、下痢、アレルギー症状などの様々な症状を引き起こします。これが、副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)症候群と呼ばれている病態ですが、正式な病気と認知されているものではなく、通常行われている医療の中では治療の対象とはされておりません。アメリカにおいては、30年以上前から、このような病態があることが示され、種々の検査や治療法が導入されています。したがって、日本国内においては、この副腎疲労症候群について認知している医師が所属する医療機関のみで、検査や治療が行われていることをご理解いただくことが必要です。原則、検査や治療は自費となります。 副腎疲労症候群の症状●疲労感:ストレス時や夜に悪化、ひどくなると朝から動けない●精神不安定:落ち着きがない、興奮、上の空、気が散る、我慢が出来ない●消化器異常:食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛●ストレス下で、機能性低血糖症に陥りやすい●欲求過多:塩分、砂糖、カフェイン、スパイス●頻拍、動悸、過呼吸(パニック発作)●起立性低血圧●顔面蒼白、悪寒、冷や汗●うつ、適応障害の診断●不眠症●PMS(月経前症候群)の悪化●花粉症などのアレルギー症状の悪化、耳の痒み●皮膚の炎症、脱毛●光に対する過敏症●性的関心の減退 副腎疲労症候群の症状 治療方針副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)症候群は、ホルモンバランスの状態によってステージが3つに分類されます。ルネスクリニックでは、まずはどの段階にいるかを把握するために詳細な問診と血液検査を行います。必要に応じて、特殊検査を行い原因の斉一検査を行います。治療の根幹はグルテンフリー(小麦製品の制限)、カゼインフリー(乳製品制限)などの食事療法、運動療法、睡眠の改善などの生活習慣の改善になりますが、状態により、サプリメントやホルモンを加えた治療を行います。検査や治療は、原則自費となります。 副腎疲労のステージ分類ホルモン・バランス症状ステージ1(通常適応ストレスによって、コルチゾールとDHEAの両方が増加する通常無症状ステージ2(早期代償不全)コルチゾールは上昇するが、DHEAは減少するストレス感、不安発作、気分変動ステージ3(晩期代償不全コルチゾールとDHEAの両方が低下するうつ、疲弊 精密な検査と分析を通して原因を突き止めたら、ステージに合わせた治療を行います。特に、うつ症状を発症するステージ3では、多くの治療が求められますが、ルネスクリニックでは、睡眠薬や抗うつ剤をなるべく使用しない治療を心がけています。 副腎疲労症候群に対する基本的治療 治療内容行動様式と 生活習慣の変容グルテンフリー(GF)、カゼイングリー(CF)、低糖食ストレス軽減、適切な睡眠、定期的な運動、リラックス手法(例:ヨガ、瞑想、断食、アロマセラピー、ビジュアライゼーション、気功など)栄養補給ビタミンC、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンD、ビタミンE、マグネシウム、亜鉛、セレン、フォスファチジルセリン、アミノ酸など消化機能改善・抗酸化力アップ消化酵素、プロバイオティクス、グルタミン、アロエベラケルセチン、クルクミン、レスベラトロール、アスタキサンチンなどハーブ補給■ストレスへの適応力を高めるハーブエゾウコギ、朝鮮人参、アメリカ人参、アシュワガンダ、マツブサ属、ロディオラ属、バコパなど■鎮静作用のあるハーブセイントジョーンズワート、バレリアン、タツナミソウ、トケイソウ、GABAなどホルモン補充療法ウシもしくはブタ副腎抽出物DHEA、重症の場合には、ハイドロコーチゾンその他の治療クロレラ、クレイ、NAC、グルタチオン、CBDオイル 副腎疲労は、全身の疲労感をはじめ、不眠やうつ病のような症状、アレルギー疾患、慢性慢性感染症など、様々な症状が見られる病気です。放っておくと糖尿病や高血圧などの生活習慣病にも繋がります。しかし、日本ではあまり聞きなれないために、別の診断を下されるケースもあります。下記は代表的な兆候です。3つ以上該当するようでしたら、副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)症候群の可能性がありますので、ルネスクリニックまでご相談ください。 副腎疲労状態を疑う徴候●うつ病や適応障害と診断された●朝起きられない●立ちくらみがする●何をしても興味を持てない、楽しくない●月経前症候群(PMS)が強くなった●物忘れがひどくなった●些細なことでも我慢できない●花粉症、アレルギーがひどい●慢性的に疲労感を覚える。とにかく疲れやすい●毎日をなんとか過ごしている 副腎疲労症候群と関連する病態 リーキーガット(腸管壁浸漏)症候群 リーキーガット症候群(LGS)とは、腸管壁浸漏症候群と訳され、簡易的に「腸漏れ症候群」とも呼ばれています。腸管壁における過度の浸透状態を示し、腸管壁に大きな穴が開いて、バクテリア、毒素、食物などが漏れ出す状態のことを言います。医学的な言葉で定義すると、腸粘膜からの高分子化学化合物質、食物アレルゲン、また、萎縮性粘膜に関連する毒素の物質透過性が増加する状態です。過敏性腸症候群(IBS)の原因として、LGSが関与している事が多いと考えられています。 リーキーガット症候群による症状●関節炎、リウマチ様症状●難治性の便秘●肥満●口臭や体臭が悪化●喘息などの呼吸器疾患●アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患●過敏性腸症候群などの腸の異常●原因の分からない腹痛、頭痛、発熱など●うつや統合失調症などの精神疾患●食物アレルギーや花粉症など耳鼻咽喉科系の不調●更年期障害、子宮筋腫などの婦人科系の症状 潜在性甲状腺機能低下症 潜在性甲状腺機能低下症(かくれ甲状腺機能低下症)とは、甲状腺ホルモン自体は、正常かやや低いレベルであるが、甲状腺ホルモンに対する反応性が低下することによって、甲状腺ホルモン不足による症状を呈する状態を言います。過度のストレス(副腎疲労)、ビタミン不足(ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンE)、ミネラル(ヨード、亜鉛、セレン、鉄分)、アミノ酸(チロシン)不足、水銀などの重金属の蓄積、フッ素や臭素などのハロゲン化物の過剰曝露などによって引き起こされると考えられています。35~60歳の女性の12.5%、60歳以上の女性の15%~20%、男性の10%程度にみられるとされています。 甲状腺ホルモンの種類とホルモン動態 潜在性甲状腺機能低下症では、サイロキシン(T4)の血中濃度の低下はみられませんが、活性型甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(T3)が軽度減少し、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が軽度上昇します。 潜在性甲状腺機能低下症による症状●倦怠感、易疲労感●記銘力の低下●低体温(36.3℃以下)、寒がり●皮膚の変化(乾燥・かゆみ)●爪の問題(薄い・もろい)●毛髪減少●体重増加、体重が減りにくい●便秘●高コレステロール血症●アレルギー(発症ないし悪化)●めまい●睡眠時無呼吸、呼吸困難●嚥下障害(飲み込みにくい)●月経異常、不妊